先日、クラムボンとEGO-WRAPPIN'の2マンのライブ「鼓膜の記憶 〜Groove2〜」に行ってきた。そこで聞いたEGO-WRAPPIN'がカバーしたクラムボンの曲「Folklore」がずっと耳に残っている。
物悲しい曲調と不確かな気持ちの拠り所を探しているかのような歌詞で、オリジナルのそれを踏襲しつつEGO-WRAPPIN'のFolkloreはピアノの音がメインで、中納さんのまっすぐで透き通る歌声によって、ふわっと浮くようなクラムボンのとは異なり、孤高感の中の強さが際立っていた。
クラムボンの楽曲の中で、切なさを内包する曲はいくつもあるものの、郁子さんの柔らかな声に乗ると切なさに暖かさ・優しさが加わるから孤高感を感じるものってさほどなかったように思うけども、EGO-WRAPPIN'のFolkloreはAliveの安室さんに感じている、たった1人で世界に立ち向かうような強さがあった。
ふと好きな歌詞のことを考えた。
例えば先ほどのFolklore。
隣の住宅のネオンが陽炎のように揺らいでた
こんな景色見たことない 見慣れていたのに
何かが変わっていくような
そんな気がした あと少しで
何事もなく消えていく
6月6号 あと少しで あと少しで
時計の針が2時を指す
気がつけば もう あと少しで
気持ちがすっと軽くなる
そんな気分さ あと少しで あと少しで
見たことある景色なのに見たことない景色に見えたり、
あと少しでを何度もつぶやいている。
具体的なことは歌の中では何も語られないけれども、
でもこの人は世界は今とても不安定で不確かで、でも変わってしまうことへの期待がどこかしらあってそんな気持ちを俯瞰しつつも共感をしたり。
具体的な状況が語られないから、歌詞の中に自分の入る隙間があって、自分に当てはまる心境が過去に経験してきたものだったり、この歌の物語に思いを馳せたりすることがとても心地良い。小説を聴いている感覚。(※この歌は、作詞作曲したミトさんが一人目の子供が生まれる前に作られたと初めて聴いたあとに雑誌のインタビューで読んだはずなんだけども、どこに書かれていたのか見つけられなかった…orz そのエピソードを知ってから、歌詞の世界がより一層色鮮やかになった)
その反面、そんな風に感じる唯一の安室さん楽曲がNobodyとFour Seasonsぐらいで、好きなアーティストの中で、安室さんと安室さん以外の人たちの歌詞の聴き方は、私の中で一線が引かれている。
ダンス曲はここではちょっと別の場所に置いといて、ミディアムとバラードの歌詞に関して語ると、まずは英語楽曲に関しては私自身が日本語のように歌詞を読み取れないからこれまた聴き方が変わってくるし、日本語楽曲はわりと限定的なシチュエーションだったり、ストレートな言葉で表現されるから心の隙間に入ってきて色々な思考を巡らせるというよりも、分かりやすく表面的に出ている自分の感情に対して、分かりやすい言葉で心をぐっとつかんでくる。
具体的な例を出すと、色々心配事が続いてる時にライブに行った時のベビドンで、「心配事なんて 全部取り除くから これでもう大丈夫」を目が合った状態で聴いたときに、とてもとても心が救われる思いがしたといった具合。
他のアーティストとの聴き方の決定的な違いは、こういったライブでの体験と安室さんの表現力。
安室さん自身が歌詞を書いているわけではないけども、でも安室さんはライブで歌詞の世界を身体で表現してくれる。胸に手を当てたり、拳を突き上げたり、手を広げたり、指差ししたり、目の表情が変わったりとそう言った仕草と歌詞を重ねて見聞きするとそこにはちゃんと意味があることが分かる。
ライブに行くと、特に今回のように心残る1曲があると色々と深堀りして考えちゃうことがあって、行き着く先は何故かいつも安室さんで、さらによくわからないけども色々考えた最後に行き着くのがNobodyというオチ。何でこんなに好きなんだろか。寝る前に聴くNobodyはとても心地良くて・:*:・(*´∀`*)ウットリ・:*:・
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シングルCDって必ずInstrumental(インスト、歌声なし音源)がついているけども、このCDは普通のインストではなくTV MIXという、歌声なし音源+安室さんのコーラス声が入っているので、声好きにはたまらない一品。ベビドンのコーラスも素敵だよ。
クラムボン - Folklore @ 頂2014 - YouTube
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