Heroの情景 - Twitterボットはディーバの夢を見るか

Heroの情景

2017/02/22 22:29

「見えてこないか?この曲の情景が…」
なんてセリフをイケメンか安室さんに囁かれたらなんて幸せなことだろうか。

音楽を聞いているとたま頭の中で千秋先輩の声が聞こえて来る時がある。
かの有名な漫画、ドラマ、映画化までもした「のだめカンタービレ」の中で、ピアノを弾きながら回想しているのだめに千秋が問いかけるセリフ。

今朝久しぶりにヒッキーのFantômeに収録されている「俺の彼女」を聴いていたときのこと。この歌は愛し合う男女の気持ちをヒッキーが交互に演じ、心の中に蠢く気持ちを徐々に露わにしていくという触れてはいけない深淵を覗いてしまうようなゾワゾワする曲。

徐々に音数が増えていき、「カラダよりずっと奥に招きたい」のところでストリングスがぐわーーーと押し迫ってくるときに、歌っている歌詞は女性の側なんだけども男性側のどろっとした気持ちまでも内包しているかのような展開になっている。
そのときに、あの言葉がふと降りてきた。言葉だけで表現できないものが音にあふれている。

そんな風な聴き方をできるようになったのがまさにのだめカンタービレとの出会いがあったからで、それまでクラシック音楽を聴くことなんて全くなくて、一度だけオーケストラを聴きに行ったけどほぼ寝ていた。でもこのドラマをきっかけに、クラシック音楽を言葉で知る機会を得て、音、楽器、フレーズの中にたくさんの言葉や情景が表現されていることを知った。例えばこんなシーンがあって、オクレール先生(のだめがフランスに留学していたときのピアノの先生)がのだめの作曲したもじゃもじゃ組曲の楽譜を見ただけでその情景を言い当てて弾いてみせる。

その横でのだめが曲の説明をし始めて、途中からオクレール先生に変わってのだめが弾き始めるんだけど、楽譜書いていない弾き方をしてそれを先生が指摘すると、書き忘れです感じてください!というと、先生は、君はそうやって言いたいことがたくさんあるみたいに、他の作曲家だっていっぱいあるのに、それを君は感覚でしかとらえていない。って言われてのだめが何かに気付かされるってシーン。

このシーンを見た時に、こんな風に音楽って聴いてよかったんだーとか、言葉で音楽を説明することでより深く聴けるようになるんだと新鮮な気分になった。以前からある曲を聴く度に目を閉じると情景が浮かび上がってくる曲があって、それはなんなんだろうかとずっと疑問だったことが、のだめを見たことで少し分かったように感じる。「目を閉じる」シリーズのブログ記事はこの曲が発端なんだけども、久しぶりに聴いてみたらあのとき浮かんだイメージを当時のように感動しながら思い描くことはできなくなっていて、あらま、、、と思ったけど、そういうのって突然降ってきたりするから今はそれでいいや。

話を戻すと、クラシック音楽だけじゃなくても、今ではどんな曲でも音色の意味だったりを考えながら聴くととても楽しくて、つい最近だとHeroがドンピシャ。

インストを聞いて感じるのは、冒頭の単音からジャーンと幕が開きキラキラと光る音の粒が舞い降り、一瞬の静寂を挟みリズム隊が加わって歩みが始まる。少しノスタルジックな雰囲気もあって過去を回想するかのような時の流れの中、徐々に音の数が増えていき高揚感が漂う。途中からバイオリンの音色が加わり、全然説明ができないんだけどこのバイオリンの音色が私の胸をとても打つ。そしてまた一瞬の静寂が訪れ、リズム隊がメインとなり激しさを増す。胸の高鳴りが広がりを見せながら歩みが速くなる。NHKのMVがまさにそうだったように。そして徐々にバイオリンがメインへ上り詰め、サビで大開放する弓の広がりの瞬間に時たま涙しちゃうぐらいに感動する。バイオリンの奏でる音色がサビの間ずっと続くのがなんだかとても感動しちゃって、大サビになるとさらに彩りを増すバイオリンの音が永遠に続けばいいのにと思う。

バイオリンってなんかとても不思議な楽器だなって思う。弓を小刻み引けば緊張感高まるし、音が高いと嘆きのような音になるし、指で弦を跳ねれば打楽器みたいな軽快な音になるし、弓を広げれば優美で抱擁感に包まれる音色になる。バイオリン楽曲といえばスタダよね。

Heroはオリンピックの曲というテーマがあって、安室さんが2016年にand GIRLのなかで、Heroのエンディングについて「終わりというよりは始まりのエンディング」と語っていたこともあったから、Heroはスタート地点に行くまでの回想というイメージが強い。サビは、これから手に入れるであろう喜びに満ちた栄光、拍手喝采、祝福のイメージ。たくさんの音が自由に伸び伸びとしている。

こんな風に言葉がいろいろ思い浮かぶこともあれば、何故か分からずバイオリンの音色に涙するということもある音楽ってとても不思議だし無限大。

インストのイメージこんなんだけど、安室さんの声が入るとインストでは自由に伸び伸びとしていた音たちが一斉に安室さんの声の横で整列する感じに統制される感じがする。

今までは、

こんな感じで自由な雰囲気だったのに、



この人が通りすぎちゃうと、



整列!(イメージです)

Heroって分かりやすい言葉を単文で切って、力強く歌い、すっと言葉が耳に残るように、作られているよね。きっと、物語はアスリートに委ねるために。1番印象に残るのは自律した力強い声。あんなに優美に彩っていたバイオリンの音色が見え隠れしかしない。
でもまぁファン以外の人に残ったのは君だけのタンメン、蕎麦煮るよかもしれないけどさ。最近は全くもってタンメンとも蕎麦とも聞こえてこなくなり、ほんと良かった良かった。

歌入りとインストがこうもガラッと印象が違うのって他にあったっけか。Tempestのインストを聞くのも好きだけど声が乗った時にこうがらっと変わらなかったような。やっぱり安室さん楽曲を集めてオーケストラで聴きたいなぁ。安室さんが来なくても可です。

毎年5月に有楽町・東京近辺でラ・フォル・ジュルネというクラシックの祭典が行われていて、毎年なんらかのコンサートに行っているんだけども、今年のテーマは舞曲。
安室さんだーーー!なんて思ってワクテクしても、安室さん曲がやるわけがない。J-POPの曲をやるのとか色々大変なんだろうか。葉加瀬太郎のライブでキャンユーを弾いてるらしいんだけどさすがに1曲だけで聞きに行くのはちょっとないなぁ。できればオーケストラがいい。


いつかこういうの生で聴きたい。


楽器の音色が美しいプレイリスト
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